「逆さメガネ」養老孟司著、PHP新書「逆さメガネ」養老孟司著、PHP新書標題の「逆さメガネ」は、人間の知覚や認知を調べる実験道具で、視野の上下が逆転する。 このメガネをかけてしばらく慣らせば、普通に行動できるようになるというこのメガネを、私はスクーリングの「心理学」の講義でかけてみたことがある。 この講義で、このメガネをかけた実験者がその状態に適応していく過程をビデオに撮ったものを見せていただき、人間の不思議さを痛感したことを思い出す。 前書きで著者は次のように述べている。 「そういうメガネをかけてもしばらく慣らせば普通に動けるということは、人間の脳の適応力の大きさを示しています。 特に子どもにはそうした柔軟性があります。だから、社会が逆さまになっていても、それなりに慣れてしまうのです。 (中略) 多数の意見だからとか、みんなと同じだからといって、それが当たり前だと思って見ているとしたら、そういう人たちは自分が逆さメガネをかけていることに気がついていないのかもしれません」 この本の中で、養老氏は「個性は身体にあり、心にはない」と言っている。 そして、「心に個性があると思い込むのはムダ」と指摘する。 読んでいくと、これは納得である。 私も、時々逆さメガネをかけてみる必要がありそうだ。 蛇足であるが、以前「バカの壁」を読んで以来、この人の書くものを雑誌や新聞で見かけたら、読むようにしていた。 そして、私は養老氏の言葉にそれなりに納得することが多かった。 しかし、人によっては同じものを読んでいても「何言ってんだか・・」と批判している人がいて、「なるほど、バカの壁はこのように存在するのか」と思っていた。 私の逆さメガネと、そのような人の逆さメガネは、逆さまなのかな??(書いてて、良くわからなくなってきた) 2005年01月06日 |